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2008年5月26日 (月)

妻の祖母の死

昨日、O君と別れて、隅田川沿いをゆっくり歩きながら家路についていた時、妻から電話があった。妻のおばあさんが危篤に陥ったとのことであった。

「おばあさんが私とあなたに会いたい、って。」と妻が言った。僕は、「行かない」と伝えた。妻は病院に急行したが、死に目に間に合ったのかどうかは分からない。おばあさんは間もなく息を引き取った。享年92歳であろうか。

1年前に結婚した僕たち夫婦は、妻のお母さんとおばあさんと一緒に暮らし始めた。そして7ヵ月後、僕たちはその家を出て、今の場所に移り住んだ。

聖路加タワーでビールを買って、近くのベンチに座った。行きかう屋形船を眺めていると、おばあさんの顔が思い出された。
どうしてこんなことになったのだろう、と思った。

病室のベッドで横たわるおばあさんを思い描くのは簡単であった。なぜなら僕の祖母が死んだあの日を思い出せば済む話だから。僕は亡き我が祖母のことを思い出さない日は未だ一日たりとてない。しかし、一体あれから何年経ったのであろうか。住む場所が変わり、生活が大きく変わった今でも、僕の心の中はあの頃とあまり変わってはいない。

家族の死に立ち会って何も感じない人は稀であろう。僕なんて毎日思い出している。人に言わないだけだ。
家族の死に触れた時、人間は人生の深淵をのぞきこむはずだ。僕もそう思った。しかし、その深淵をのぞきこんだはずの僕が出した結論が、妻の祖母の死に目に立ち会わないことにした、というのは、一体どういう意味なのだろう。

僕の怒りはそれほどまでに大きかったのか。死ぬまで人を許さない、死んでも人を許さない、という選択肢は、果たして人間に与えられているのであろうか。

今後、妻の祖母のことを思い出す時もあるだろう。せめてその時は、笑い声が絶えなかった日々のことを思い返すことにしよう。

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コメント

どうしようもない気持ちから眼をそらさないのは良いと思います。ひとごとながら..。

投稿: BlueTokio | 2008年6月 7日 (土) 10時57分

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